木漏れ日で始まる朝
朝は、鳥のさえずりと風のざわめきで目を覚ます。
窓辺のカーテンがふわりと揺れて、光の粒が部屋の中へそっと入り込んでくる。
時計もアラームも、今日だけは静かに眠らせておく。
手を伸ばせばスマホがあるけれど、それには触れない。
誰の声も入れずに、ただ自然のままに目覚める時間。
そんな朝が、私にとって一番の贅沢。
あたたかい飲みものを用意して、椅子に腰掛ける。
聞こえるのは、遠くの鳥の声と、風が木々を揺らす音だけ。
音楽のようなその静けさに、耳と心をゆだねる。
ピアノの波に心をゆだねて
休日の午後、私はそっと音楽に触れる。
音を生むわけでもなく、演奏するわけでもなく、
ただ、そっと整える。
昨日紡いだピアノのメロディを、ゆっくりと、静かに仕上げていく。
波形が画面に現れたとき、私はその音の揺れに自分を重ねる。
余分な部分をそっと削り、終わりにフェードアウトをかけると、
まるで心の中のざわめきまでも消えていくよう。
誰とも話さずに過ごす数時間。
でも、まったく孤独ではない。
むしろ、音のひとつひとつが寄り添ってくれているような気がして、
こんなにも静かなのに、心はやさしく満ちていく。
誰とも会わないという優しさ
この日、私は誰とも約束をしない。
街にも出かけず、誰かの声も耳にしない。
ただ、部屋に差し込む光と、風に揺れるカーテンと、
あたたかな毛布にくるまって過ごす。
家族が近くにいても、それぞれが自分の時間を過ごしていて、
干渉せず、見守るようにそばにいる。
言葉のいらない関係性が、こんなにも心を穏やかにするとは、
少し前の私は知らなかった。
遠くで子どもたちの笑い声が響くと、
その音さえも、私の休日の一部になる。
空白に満ちるもの
静けさの中に身を置くと、
不思議と心の奥から言葉が湧いてくる。
無理に考えようとしなくても、
浮かんでくるメロディや、書きたくなる文章がある。
音のない休日は、
実はとても豊かな時間なのだ。
予定もなく、通知もない日。
でもそこには、心を潤す「何か」が確かにある。
今、あなたがもし、少し疲れていたら。
何かに追われていたり、誰かに合わせすぎていたら。
どうか、音のない休日を、
そっと自分に許してあげてください。
静けさの中で、
本当の自分の声が、
きっと聞こえてくるから。
