今朝、散歩の途中で立ち止まりました。
道ばたに咲く小さな青い花――ヤグルマギク。
その花々が風に揺れて、まるで空のかけらが地面に舞い降りたようでした。
毎年この時期になると、私はこの花に心を奪われます。
透き通るような青、そしてときおり混じる紫や白の花。
それらが群れをなして咲いていると、私は立ち止まらずにはいられません。
そんな気持ちを、今日は一つの詩にしてみました。
空を映す花 ― ヤグルマギクに寄せて
透明な風が
ほほを撫でた朝に
道ばたに咲く ヤグルマギクが
ひっそりと、しかし確かに
空の色を地上に映していた
青 そして 紫
たまに 白もまじって
涼しげに すがすがしく
名も知らぬような草たちの中で
それでも堂々と咲いている
雑草と呼ばれるかもしれない
けれど 私にとっては
心を浄化する花
群れて咲くその姿は
青い空の分身のようで
吸い込まれそうになるほど 澄んでいる
誰に誇るでもなく
誰に媚びるでもなく
ただ そこにいる
そのことが どれほど美しいか
私は知っている
だから今日も
私はこの花に 心を洗われる
そして少しだけ
まっすぐになれる

ヤグルマギクってどんな花?
ヤグルマギクは、ヨーロッパ原産の花で、英名は「コーンフラワー」。
かつてドイツ皇帝ヴィルヘルム1世が、幼い頃の思い出の花として、ヤグルマギクを「皇帝の紋章」にしたことから「皇帝の花」とも呼ばれる、青く気品ある花です。
日本では、春から初夏になると道端や公園に自然と咲き始め、涼やかな空気を運んでくれます。
花の色は青を中心に、紫や白も見られ、群生するとまるで空が地面に咲いたかのような景色に。
花言葉は「優雅」「繊細」「希望」「思い出」。
雑草と呼ばれる花の、本当の価値
誰かにとっては、ただの雑草かもしれません。
名前も知られず、踏みつけられてしまうような存在。
でも、私にとってこの花は「静かな強さ」と「美の象徴」。
咲く場所を選ばず、風の中で揺れながらも凛としていて、
誰の目も意識せずに咲く姿が、“存在そのものが尊い”ということを思い出させてくれます。
かつて、ドイツ皇帝に愛されたというエピソードがあるこの花。
「皇帝の花」と呼ばれるのも、その理由がなんとなくわかるような気がします。
ただそこにいて、咲くだけで、誰かの心をそっと整え、慰めてくれる。
そんな花に、私は何度も救われてきました。
おわりに――小さな花が教えてくれること
人はつい、何かを証明しようと焦ってしまいます。
役に立っているか、認められているか、価値があるかどうか。
でも、ヤグルマギクは何も証明しません。
ただ静かに、空の色をまとって咲くだけです。
その姿に、私はそっと背筋を正されるのです。
あなたももし、心がざわつく朝があったら、足もとを見てください。
風に揺れる花が、今日という日をやさしく迎えてくれているかもしれません。